本を捨てた翌日に

あの、あそこにあった、あの本が、もう一度読みたいのだ、どうしても、もう一度読みたいのだ。
いやいや、昨日捨てたばかりだろう…寂しさが胸に残るって覚悟済みだったじゃないか…その寂しさがこれなんだよ。これでいいんだよ。
…いや…でも…読みたい…どうしてもやっぱり…他のものでは替えがきかない。

結局、再度、同じ本を注文した。古書になってて3千円程。

100万以上かけた本たちは、1万円ちょっとになって、スッキリ全て片付いた。名残惜しさを残して。
自分の判断力が狂っているのか、金銭感覚が狂っているのか、そのどちらもなのだろう。

バッハを聴きながら風呂に入った。外の強風が鳴る。
自分はおそらく、人間が何たるかを、最後まで理解できずに死ぬだろうな、なぜか、そう思った。