真白き富士の嶺@神保町シアター

神保町シアターにて、「真白き富士の嶺」 を観賞。原作は、太宰治の「葉桜と魔笛」。
監督:森永健次郎、音楽:渡辺宙明

瑞々しく繊細な、良い映画だった。太宰の原作が洗練されて豊かに映画の世界へ広がっていた。

生誕百年に観た複数の太宰映画よりも、原作から違和感がなかった。昭和38年制作、太宰の死から15年程、まだ残り香のある時代だったからかもしれない。

芦川いづみ吉永小百合、女優さん二人、とても綺麗だった。若くして病で死んでいく人の気持ちを、自分は本当には解り得ないのではないかと感じた。そして、映画の中で人がひとり亡くなってこんなに悲しいのだから、戦争を起こさない世の中であって欲しいと、今日は思った。

写真は、今回の特集企画「恋する女優 芦川いづみ」に寄せられた芦川さん自筆の手紙。

あの、出来る事でしたら、スーパーマンの力をかりて、飛んでいって舞台の上から皆さまに御挨拶をしたいくらいの嬉しさでいっぱいでございます。本当に有り難う御座います。
黄金期の撮影所でのお仕事は十三年間、私の青春時代とかさなって大切な宝物となって、心にのこっております。
いただいたお話によりますと、特集上映に「恋する女優 芦川いづみ」と題名がありました。「恋する女優」なんて、いや、もう一度あの頃にもどってみたいですね。いえいえ、そんな事出来る訳がございません。