乱歩展
池袋東武へ「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」を観にいく。展示だけなら行かなかったと思うけど、乱歩の土蔵が初公開されるということで、土蔵見たさに行くことにした。東武での展示と土蔵の見学チケットがセットで一般1000円。
以前、やはり池袋で乱歩展があった時、当時仲が良かったMと一緒に、立教大学の近くにある乱歩の孫の平井憲太郎氏の自宅とその家の庭にある乱歩の土蔵を見に行った。もちろん公開されていなかったので、近所のグラウンドの隅から、のぞきのような有態で、ボロボロの外壁の土蔵を見つけた。その時の土蔵は白い外壁だった。
今日の展示で、土蔵に復原工事が行われたことを知った。数年前に私が見た白い外壁は、もともとは黒い色で、関西地域の職人が建てたものらしい。だから元の黒い色に改装されたのだという。
展示会場は、けっこう混雑していた。若い世代も多く、老年者もいたので、乱歩は幅広い年齢層に人気なのか。わたしは、乱歩の作品を一冊もちゃんと読んだことがないので、今度読んでみようと思う。
展示会場をさらっと流して、土蔵に向かった。私は池袋の地理に疎く、新宿・渋谷・有楽町などと比較すると、ダントツで方向音痴になる。人に聞きつつ、立教大学まで行った。するとなんと土蔵見学のために「待ち時間60分」と書いてある。「えー!60分ですかー!」と連れもいないのに大声をあげると、時間をずらせばもう少し空くと思います、という返事。
一時間も一人で列に並ぶのは嫌なので、前回のように外から見ればいいやと思って、またグラウンドの隅へ行ってみた。再びのぞきと化し、黒い外壁を確認した。
顔のまるいMと見たボロボロの白い外壁を、懐かしく思った。新しく復原されることを貴いことだと思いつつも、経年して朽ちた建築物も、それはそれとして趣きがあると思うのだ。奇しくも土蔵の復元工事を請け負ったT建設に勤めるMと、もう会うこともないのだろうと思うと、余計に懐かしさがつのった。
乱歩展は8月19日より24日まで。もう少し長い期間、展示してもいいのではと思うのだが。今日見られなかった土蔵の内部を、明日できれば見に行こうかなと思っている。