乱歩゜へ

池袋で乱歩展を見た後、そこで配られていたいくつかのパンフレットと、購入した絵葉書セット、それから乱歩が通っていた「三原堂」という菓子店で販売している「乱歩の蔵」という名の焼き菓子を持って、久しぶりに千駄木の喫茶店乱歩゜」へ行った。

風紋に行くようになる前は、会社の帰りによく乱歩゜へ行っていた。閉店が午後8時なので、少し残業すると寄れなくなってしまう。良介というかわいい猫がいる。

店長さんも元気そうで、良介も店にいた。久しぶりですと言って、乱歩展のパンフとお土産を渡した。あまり表情を変えないクールな感じの店長さんだが親切な人だ。もう結構な年齢だと思う。70歳位なのかなぁ・・

アイスティーとケーキを注文して、近くにあった雑誌を読んだ。寺山修司の特集で、読んでみたら面白かったので、明日にでも、同じ雑誌を注文するつもり。

大学の頃や社会人になったばかりの頃、よく喫茶店に行ったものだが、やっぱり喫茶店はいいなと思う。一人でゆっくりしたい時には特に。もちろん友達と一緒でもいい。バーだと何か話さなければならない雰囲気だけど、喫茶店は黙っていられるからいいなと思う。

乱歩゜を出てから、団子坂を上がり、高村光太郎と智恵子の暮した旧居跡と、そこで暮し始める前の光太郎の家、高村光雲の遺宅に行った。いま、『智恵子飛ぶ』という本を読んでいる途中なのだが、その中に光太郎と智恵子の暮らした家の話がよく出てくるので、見たくなったのだ。

智恵子が重い「グロキシニア」の鉢を持って上ってきた坂道は、この道なのね。光太郎のアトリエに何度も一人で訪れたのも、結婚して一緒に暮らすようになったのも、この場所なんだと思って、一人感慨深くひたっていた。暗闇の住宅街で立ち尽くす独身女は、不審者にも見えたかもしれない。